Rouet×Life Report vol.2
2015年 12月 06日
自然に寄り添う優しい視点で紡ぎだすのは、新しくも懐かしい世界観
東京藝術大学大学院を卒業後、ランドスケープデザインの会社や高校の美術講師として勤務した後、造形アーティストや七宝焼き作家として活動のフィールドを広げる馬場美樹さん。【Rouet×Life report】の 2回目となる今回は美樹さんのアーティストとしての顔に迫ります。
ランドスケープデザインから学んだ植物を観る眼
美樹さん一家が暮らすのは、周囲の自然に溶け込むように建つ築40年の平屋です。
中へ入ると、灯る炎が訪れる人を静かに歓迎してくれる暖かい暖炉。
部屋のパーティション代わりにご主人が仕立てた棚には、
ご主人の祖父の持ち物だったという年代物のカメラや
写真集やドライフラワー、
数字のモチーフなど、
どこか旅のにおいがするものばかりが並んでいます。
いくつも並ぶカメラは、ご主人の祖父のおさがりだとか。なぜこんなにカメラを持っていたのかは、いまだにわからないのだそう
薪は近所の方が声をかけてくれるので、ほぼ買わずに済んでいるそう。炎の揺らぎや時折聞こえてくる薪が燃えるパチパチという音もいい
いつも午前中に食事の支度をするという美樹さん。取材中に蒸し上がったかぼちゃは、最近野菜を食べなくなって来たという愛息Mくんのためにかぼちゃ入りのおやつを作るのだとか
美樹さんは大学で画を中心に学んだ後、北海道にあるランドスケープデザインを行う会社に就職。
そこでは主に公園や庭の設計を行っていたそうです。
「平面的な絵画を中心に学んでいた専門分野とは一見畑違いのようですが、
その時に公園や庭づくりに欠かせない山や森、樹木や草花の調査をする中で、
季節ごとに変わる植物の表情を発見できたことは、とても新鮮な経験でした」
と振り返る美樹さん。
「あの頃、じっくりと植物に向き合えたおかげで今までなんとなく好きだった植物を、
また違った視点で見ることができるようになりました」。
冷たい木枯らしの吹く季節を凌ぐ冬芽から
ポカポカと暖かな日差しを感じる春の新芽へ―。
一年を通して植物の移り変わりを見守り、観察していた当時の経験は、
美樹さんのアーティストとしての今に確実に繋がっています。
今年の11月末には美樹さんが絵を手掛けた南阿蘇の地名の由来を物語にした紙芝居も完成!「絵を通じて地域に貢献できたことが何よりうれしい」と美樹さん
偶然に導かれた“七宝”との出合い
北海道から帰熊後は高校の美術講師を経て、造形アーティストとして活動を始めます。
美術教室で絵を教える傍ら個展を開催するなど、自らの“描く”行為を模索していた美樹さん。
そんな中で、七宝焼きと運命的な出合いを果たします。
「友人のお母さんが昔やっていたそうで、たまたま七宝の道具を一式持っていたんです。
そこで教えていただいたことが七宝を始めたきっかけです」。
七宝とは金や銀、銅の基板にガラスの釉薬をのせて800度前後で焼成した工芸品。日本では江戸初期にその技術が確立されたと言われています
表現者としての道を模索する中で、偶然訪れた七宝との出合い。
その魅力にひかれ、自ら七宝アクセサリーのブランド「sippo」を立上げます。
以来、東京のアーティストウィークやパリでのグループ展へ招かれるなど、
アーティストとして新たな世界を広げています。
「予想以上に豊富な釉薬の色には、絵のように描く楽しさがあります。素材との相性がよかったのでしょうね」と美樹さん
制作の合間の一番の気分転換に挽きたての珈琲を淹れたら、暖炉の前で寛ぎの一杯を堪能
「今まで七宝は、工芸品としての認識だったのですが、
予想以上に豊富な釉薬の色や、形を決める楽しさなど
実際にやってみると案外自由度が高い手法だということを知りました。
絵画でも元々コラージュや切り絵が好きだったこともあり、
絵を描く延長線のような感覚で楽しめています」と美樹さんは朗らかに笑います。
ライフスタイルショップ「Grun」に納品へ。思わず見とれてしまう素敵な商品ラインナップは、必ず作家に会いに行って仕入れを行うという店主の誠実な人柄が支えています
創作の一番の刺激になるものは? と尋ねると
「散歩や景色、運転中、本や画集、綺麗なお菓子やパン…
南阿蘇での日常や旅先、実家など場所が変わるだけでも違います。
モノの影や形、光を見て、色の組み合わせにハッとすることも。
美しいと思えるものをできるだけ自分の中にストックしておきたいんです。
それが作品のイメージとして表れてくるのは、
5年後なのか10年後なのかはわかりませんが、
常にアンテナを張っておける自分でありたいですね」。
自然に恵まれた南阿蘇の自然。それらが美樹さんの創作の原点に
植物の葉や木の実、石など身の周りにある
何気ないものをかたちにする美樹さんの作品。
植物を見つめる優しい視点が、日々の小さな発見となり
美樹さんに新しい創作の種子を運んできてくれるのです。
【着用アイテム】
グレーシャツ/20,520
メンズ仕立てのシャツは、上質なウールの素材感やノーカラーの襟元、優しい色合いで着ると女性らしさが引き立つ店頭でも人気のアイテム
ウールガーゼストール/12,420
もたつかず、スッキリとした襟元を演出するウールガーゼ素材のストールは、さらり巻くだけで着こなしに高級感を与えてくれる。カラーバリエーションも豊富にそろう
ウールガーゼトップス(グレンチェック/ピンクベージュ)/¥19,980
暖かさと軽さを両立させたウールガーゼのトップスは、光の加減や着る人の動きに沿って
柔らかい雰囲気を醸しだす。オフタートルの襟元を遊ばせて着こなしを楽しんで
ウール地トッパーカーディガン/24,840
パッと目を引く鮮やかな赤のトッパーカーディガン。いつもの着こなしに羽織るだけで、
きちんとした印象を与えてくれるモダンなデザインが素敵!
ターバン/\4860(aillugib)
さまざまな色柄をミックスしたRouetショップ取り扱いブランド aillugibのターバンは、いつものコーデを一気に垢抜けさせてくれる。巻き方によって異なる表情も面白い
七宝焼き・種モチーフリバーシブルカラーピアス /14,000(sippo)
表面はゴールドブルー、裏面は鮮やかなコバルトブルーをアクセントにした七宝焼きのピアス。飽きの来ない深い色味は、シーンを選ばず活躍しそう
web sippo
文 nakajo asuka
東京藝術大学大学院を卒業後、ランドスケープデザインの会社や高校の美術講師として勤務した後、造形アーティストや七宝焼き作家として活動のフィールドを広げる馬場美樹さん。【Rouet×Life report】の 2回目となる今回は美樹さんのアーティストとしての顔に迫ります。
ランドスケープデザインから学んだ植物を観る眼
美樹さん一家が暮らすのは、周囲の自然に溶け込むように建つ築40年の平屋です。
中へ入ると、灯る炎が訪れる人を静かに歓迎してくれる暖かい暖炉。
部屋のパーティション代わりにご主人が仕立てた棚には、
ご主人の祖父の持ち物だったという年代物のカメラや
写真集やドライフラワー、
数字のモチーフなど、
どこか旅のにおいがするものばかりが並んでいます。
いくつも並ぶカメラは、ご主人の祖父のおさがりだとか。なぜこんなにカメラを持っていたのかは、いまだにわからないのだそう
薪は近所の方が声をかけてくれるので、ほぼ買わずに済んでいるそう。炎の揺らぎや時折聞こえてくる薪が燃えるパチパチという音もいい
いつも午前中に食事の支度をするという美樹さん。取材中に蒸し上がったかぼちゃは、最近野菜を食べなくなって来たという愛息Mくんのためにかぼちゃ入りのおやつを作るのだとか
美樹さんは大学で画を中心に学んだ後、北海道にあるランドスケープデザインを行う会社に就職。
そこでは主に公園や庭の設計を行っていたそうです。
「平面的な絵画を中心に学んでいた専門分野とは一見畑違いのようですが、
その時に公園や庭づくりに欠かせない山や森、樹木や草花の調査をする中で、
季節ごとに変わる植物の表情を発見できたことは、とても新鮮な経験でした」
と振り返る美樹さん。
「あの頃、じっくりと植物に向き合えたおかげで今までなんとなく好きだった植物を、
また違った視点で見ることができるようになりました」。
冷たい木枯らしの吹く季節を凌ぐ冬芽から
ポカポカと暖かな日差しを感じる春の新芽へ―。
一年を通して植物の移り変わりを見守り、観察していた当時の経験は、
美樹さんのアーティストとしての今に確実に繋がっています。
今年の11月末には美樹さんが絵を手掛けた南阿蘇の地名の由来を物語にした紙芝居も完成!「絵を通じて地域に貢献できたことが何よりうれしい」と美樹さん
偶然に導かれた“七宝”との出合い
北海道から帰熊後は高校の美術講師を経て、造形アーティストとして活動を始めます。
美術教室で絵を教える傍ら個展を開催するなど、自らの“描く”行為を模索していた美樹さん。
そんな中で、七宝焼きと運命的な出合いを果たします。
「友人のお母さんが昔やっていたそうで、たまたま七宝の道具を一式持っていたんです。
そこで教えていただいたことが七宝を始めたきっかけです」。
七宝とは金や銀、銅の基板にガラスの釉薬をのせて800度前後で焼成した工芸品。日本では江戸初期にその技術が確立されたと言われています
表現者としての道を模索する中で、偶然訪れた七宝との出合い。
その魅力にひかれ、自ら七宝アクセサリーのブランド「sippo」を立上げます。
以来、東京のアーティストウィークやパリでのグループ展へ招かれるなど、
アーティストとして新たな世界を広げています。
「予想以上に豊富な釉薬の色には、絵のように描く楽しさがあります。素材との相性がよかったのでしょうね」と美樹さん
制作の合間の一番の気分転換に挽きたての珈琲を淹れたら、暖炉の前で寛ぎの一杯を堪能
「今まで七宝は、工芸品としての認識だったのですが、
予想以上に豊富な釉薬の色や、形を決める楽しさなど
実際にやってみると案外自由度が高い手法だということを知りました。
絵画でも元々コラージュや切り絵が好きだったこともあり、
絵を描く延長線のような感覚で楽しめています」と美樹さんは朗らかに笑います。
ライフスタイルショップ「Grun」に納品へ。思わず見とれてしまう素敵な商品ラインナップは、必ず作家に会いに行って仕入れを行うという店主の誠実な人柄が支えています
創作の一番の刺激になるものは? と尋ねると
「散歩や景色、運転中、本や画集、綺麗なお菓子やパン…
南阿蘇での日常や旅先、実家など場所が変わるだけでも違います。
モノの影や形、光を見て、色の組み合わせにハッとすることも。
美しいと思えるものをできるだけ自分の中にストックしておきたいんです。
それが作品のイメージとして表れてくるのは、
5年後なのか10年後なのかはわかりませんが、
常にアンテナを張っておける自分でありたいですね」。
自然に恵まれた南阿蘇の自然。それらが美樹さんの創作の原点に
植物の葉や木の実、石など身の周りにある
何気ないものをかたちにする美樹さんの作品。
植物を見つめる優しい視点が、日々の小さな発見となり
美樹さんに新しい創作の種子を運んできてくれるのです。
【着用アイテム】
グレーシャツ/20,520
メンズ仕立てのシャツは、上質なウールの素材感やノーカラーの襟元、優しい色合いで着ると女性らしさが引き立つ店頭でも人気のアイテム
ウールガーゼストール/12,420
もたつかず、スッキリとした襟元を演出するウールガーゼ素材のストールは、さらり巻くだけで着こなしに高級感を与えてくれる。カラーバリエーションも豊富にそろう
ウールガーゼトップス(グレンチェック/ピンクベージュ)/¥19,980
暖かさと軽さを両立させたウールガーゼのトップスは、光の加減や着る人の動きに沿って
柔らかい雰囲気を醸しだす。オフタートルの襟元を遊ばせて着こなしを楽しんで
ウール地トッパーカーディガン/24,840
パッと目を引く鮮やかな赤のトッパーカーディガン。いつもの着こなしに羽織るだけで、
きちんとした印象を与えてくれるモダンなデザインが素敵!
ターバン/\4860(aillugib)
さまざまな色柄をミックスしたRouetショップ取り扱いブランド aillugibのターバンは、いつものコーデを一気に垢抜けさせてくれる。巻き方によって異なる表情も面白い
七宝焼き・種モチーフリバーシブルカラーピアス /14,000(sippo)
表面はゴールドブルー、裏面は鮮やかなコバルトブルーをアクセントにした七宝焼きのピアス。飽きの来ない深い色味は、シーンを選ばず活躍しそう
web sippo
文 nakajo asuka
by rouet-jp
| 2015-12-06 11:18
| Rouet×Life Report